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佐賀県民の消費生活の安定及び向上に関する条例の改正に関する提言

平成16年8月28日
佐賀県民の消費生活の安定及び向上に関す る条例の改正に関する提言
佐賀消費者フ ォーラム

提言

佐賀県が、昭和57年3月30日佐賀県条例第7号で定めた「佐賀県民の消費生活の安定及び向上に関する条例」について、平成16年6月2日法律第70号で改正された「消費者基本法」の施行に伴い、県民による消費者の権利の実現及び県民の消費生活の安定と向上のため、別紙「条例改正に関する提言」のとおりの改正を直ちにするよう、佐賀県に対して提言いたします。

提言の理由

本年6月、わが国の消費者政策の基本となる「消費者保護基本法」が全面的に改正され、新たに「消費者基本法」が施行されました。同法は、消費者の権利の尊重と自立の支援を基本理念とし、国のみならず、各地方自治体もまた、この基本理念に即した消費者政策を積極的に推進する責務を負っていることを明らかにしています(同法4条)。
県民一人ひとりが、日々の消費生活において、消費者としての権利を享受し、必要な保護を受けるとともに、その能力に応じた自立を目指すためには、地方自治体が、率先して、消費者被害の防止と救済、迅速かつ適正な紛争解決並びに積極的な啓発・教育活動等について、具体的なルールを定めて、これを的確・適正に運用していくことが不可欠であると考えます。
佐賀県は、すでに「佐賀県民の消費生活の安定及び向上に関する条例」(昭和57年制定)を定めていますが、同条例の内容については、先の消費者基本法改正の理念に照らして見直すべき時期に来ていると思われます。
そこで、県民による消費者の権利の実現及び県民の消費生活の安定及び向上を目的として、現行条例を直ちに改正し、「使える条例」「身近な条例」として、新たに生まれ変わらせることが、現在の佐賀県消費者行政における急務であると考えます。
より具体的には、以下の観点から早期の改正が必要と思われます。

  1. 現行条例の制定時から既に20年余りが経過し、現在の消費者を取り巻く環境が大きく変化しているために、現行条例が想定していなかった新しいタイプの様々な消費者被害が多発しています。たとえば、インターネットや携帯電話を利用した新しい取引方法や商品、サービスの普及によるトラブルの増加、消費者金融やクレジットカードの利用による多重債務の深刻化が大きな社会問題となっています。さらに、高齢者や若い世代の訪問販売やマルチ商法等、悪質商 法による被害、偽装表示問題、自動車のリコール隠し による被害、架空融資や有料情報サービス料の回収 を偽装した架空請求の被害などが急増しています。
  2. 産業技術の進歩に伴い、商品やサービスの 提供方法等が高度化、複雑化したために、従来から 存在していた消費者と事業者との間の情報力、交渉 力の格差がさらに広がり、両者の間の取引の場面にお ける力の不均衡がますます拡大されたことによって、消費者被害もまた増大しています。かかる不均衡を解消するためには、消費者の権利擁護の視点を明確にし、 消費者の保護に関する手続を条例において明確に定めるとともに、消費者の自立に向けた積極的な公的支援を押し進めていく必要があります。
  3. 国の施策に準じた消費者政策を推進することが地方公共団体の責務として「消費者基本法」において明記されています。さらに、地方分権化の進展の中、法定自治事務として、地方自治体が積極的に消費者行政を展開することが求められており、時代の変化に即応した適切な消費者施策を展開していくことができるよう、条例の見直しが必要な時期になっています 。

以上のとおり、佐賀県が、昭和57年3月30日 佐賀県条例第7号で定めた「佐賀県民の消費生活の安定及び向上に関する条例」について、平成16年6月2日法律第70号で改正された「消費者基本法」の施行に伴い、県民による消費者の権利の実現及び県民の消費生活の安定と向上のため、別紙「条例改正に関する提言」のとおりの改正を直ちにするよう、佐賀県に対して提言いたします。

別紙 条例改正に関する提言

一、現行第1章の改正について

1.はじめに

本条例が、現行の2条にもあるとおり、消費者を保護の対象としていたのは、消費者と事業者との間に情報力・交渉力に関する格差が存在することに加え、自然人である消費者の特性(精神的弱さ、能力の個人差等)から、両者の間に不均衡が生じているからである 。
そのような社会的事実は現在も解消されるどころか、事業者の提供する商品やサービスはますますハイテク化して情報の格差は広がり、各地の相談窓口における苦情申立件数からも明らかなとおり、消費者被害は増大し深刻化している。
そして、今回の消費者基本法の改正(以下、単に「法」という場合には、改正された消費者基本法を指す。)にあたっては、第1条の「目的」に以上のような社会的事実が明記されるとともに、総則規定には「自立の支援」が謳われている。

 

2.目的、基本理念

この「自立の支援」という考えの根底には、自立できる消費者が増えることを期待する一方で、自立できない消費者が存在し、これらについては保護の必要があるいう考えがあるものと思われる。
したがって、本条例の目的が「消費者の権利擁護」であることをまず明確にすべきである。
本条例の目的をこのように設定すれば、本条例の基本理念として、「消費者の保護」、「消費者の自立」、「消費者の自立支援」が三本柱とされるべきである。

 

3.消費者の権利の明記

さらに、消費者の権利擁護が本条例の目的であり、その保護等が基本理念となるので、総則規定の改正では、法改正の趣旨を活かすためにも、保護の対象であるが故に有する消費者の権利を具体的に明記し、その具体的な内容を広く一般県民にも理解できるようにすべきである。

 

4.行政の義務ないし役割の明記

消費者の権利擁護が目的であるとしても、それを擁護する責務を行政が認識・認容しなければ、本条例の目的達成は困難である。
したがって、本条例においては、消費者の権利の実現に不可欠な行政の責務、すなわち、消費者被害の予防とその救済に関する施策ないし役割が明記されるべきである。
また、消費者の権利の実現は、「公正かつ自由な競争ルールの遵守」が前提であることから、その遵守に向けた施策も行政の責務とすべきである。

 

5.事業者団体及び消費者団体の責務ないし役割

今回の法改正では、事業者団体及び消費者団体が社会的な存在として認知されるとともに、これらの責務や役割が規定されている。
したがって、本条例の改正にあたっても、法の趣旨に沿った規定を新設すべきである。

 

6.本章の構造

本章の構造としては、以上のような内容が県民にとって分かりやすいものになるよう心懸けるべきである。
すなわち、まず1条と2条で現行規定と同様、解釈指針ともなる目的及び基本理念を規定すべきである。
そして、本条例の目的である「消費者としての権利」を明記し、その後に「行政の義務」等、各主体毎に権利、義務、役割等の規定をおくべきと考える。
なお、本条例の目的及び基本理念の詳細や、改正の経緯などは、後述のとおり「前文」を創設し、そこで明記することを検討すべきである。

 

前文の創設

1.前文挿入の是非

前記のような本条例の改正の経緯や目的等を、条例の冒頭において明確にする必要があると思われるが、細かい改正の経緯等は条例本体(条文)には入れにくいなど、条文化にはそぐわない部分も考えられるので、前文を新たに設けて、そこにそれらを記載すべきである。
そして、その場合には、その内容が県民にも十分に分かるよう、かみ砕いた平易な表現を用いるべきである 。

 

2.そして、このような前文の趣旨からすれば、その内容としては、以下の点を含むものとすべきである。

  1. 安全かつ安心な消費生活を送ることが県民の当然の権利であること。
  2. 経済社会の進展が、多彩な商品やサービスを生みだし、消費者の選択の幅を生み出す一方で、商品やサービスの提供方法等の高度化・複雑化をも生みだし、結果的に、従来から存在する消費者-事業者間の情報力、交渉力等の格差をさらに増大させていること。
  3. したがって、県民の消費者としての権利を守るためには、実効性ある消費者被害の予防と救済を行うことが県の責務であること(消費者の保護)。
  4. また、県民が、各自の能力に応じて、自立した消費者として行動できることを可能とするよう支援することが同じく県の責務であること(消費者の自立の支援)。
  5. さらに、消費者もまた、各自の能力に応じた自立に向けて行動するよう努めること(消費者の自立)。
  6. 県、事業者及び事業者団体、県民のそれぞれ が、消費生活における環境への配慮を行うよう努めること。

 

現行1条について

本条例の目的を規定するものであるが、前述のとおり、以下のような規定とするべきと考える。
なお、条文の読みやすさの観点から、現行条例とは異なり、「事業者」、「商品」等に関する定義規定は別途設ける方が望ましいと考える。

この条例は、県民の消費生活における利益の擁護と増進について、消費者としての権利が県民に明確に帰属するものであること、並びに、県民の消費者被害の予防及び救済が県のきわめて重大な役割であることを確認するとともに、あわせて、県、市町村及び事業者の果たすべき責務を明示し、県が推進するべき消費者政策について必要な基本的事項を定めることによって、消費生活における県民のくらしの安全と安心を確保することを目的とする。

 

現行2条について

1.前述のとおり、本条例の基本理念を明示する規定となる。

本条例の基本理念は前述のとおり、以下の「3本柱」となる。

  1. 消費者の保護:本条例制定の基礎となっている社会的事実が、消費者と事業者の地位の不均衡にあり、本条例の目的はあくまで消費者の保護ないし権利・利益擁護にある。
  2. 消費者の自立:自立した消費者となることはあくまでも抽象的な理想像であり、法律自体も「自立」自体は要求していない。したがって、法の理念も消費者に自立する努力を促すという意味にとどまり、自立した消費者が事業者と対等な関係にあることを認めるものではない。
  3. 消費者の自立支援:法律でも基本理念とされているが、抽象的な概念であるので、本条例においては、以下のとおり、その内容を具体化する必要がある。
  • あくまでも自立支援であり、自立強制ではないこと
  • 必要な自立支援を受けることが消費者の権利の1つであること
  • 目標とすべき自立の程度に個人差があることを認容すること
  • 学校教育を含む消費者教育の実現の根拠とす ること
  • 成年後見制度、地域福祉権利擁護事業の活用等、福祉行政と消費者行政との高度の連携を図ることによって、はじめて真の意味での消費者保護が成立する領域(あるいは対象者)の存在を明示すること

 

2.以上のような観点から、基本理念を規定する本条は、以下のような規定とすべきと考える。 

前条に掲げた目的を達成するため、この条例の解釈にあたっては、次の点に留意しなければならない。

  1. 消費者と事業者との間には情報の質及び量並びに交渉力等について、厳然たる格差が存在すること、かつ、この格差が消費生活の複雑化と消費取引の高度化の進展に伴って、ますます増加していることを踏まえるならば消費者被害の予防及び救済を含む実効的な消費者保護を受けることは、県民の当然の権利である。
  2. 前号の格差を是正するために、県民が消費生活において自主的かつ合理的に行動できるよう、その自立の支援を行うことは、県の重要な責務である。
  3. 県民に対する消費者としての自立の支援は、年齢や障がいの有無等、個人の特性に十分に配慮して行われなければならない。
  4. 県民は、自らの能力に応じて、その消費生活に関して必要な知識の習得や情報の収集を行うなど、自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。
  5. 県民の消費者としての権利の実現にあたっては、事業者間において公正かつ自由な競争が保たれていることが必須の前提条件であることを踏まえて、これを不当に制限・歪曲する行為を規制するために必要な措置が講じられなければならない。

 

消費者の権利に関する規定の新設

1.本条例の目的である消費者の権利擁護の前提として、消費者の権利を具体的かつ明確にしておく必要があると考える。

そして、どのような権利を具体的に列挙するかについてはいくつかの考え方があるが、少なくとも、以下の点に注意が必要であると思われる。

  1. 先の3つの基本理念との整合性を図ること。
  2. 改正法との整合性を図ること。
  3. 判断能力の低下等により、消費者契約の締結に関して何らかの支援を必要とする者に対して、県が積極的な支援を行う義務を持つことを明示すること。 また、この点について、障がい者等の契約トラブルを福祉だけの問題として狭く捉えるのではなく、大きく消費者保護全体の枠組みの中で捉えるべきことを指摘すること。

 

2.以上のような観点から、本条については、以下のような規定にすべきと考える。

(1)佐賀県民は、消費生活の安定と向上を確保するために、次の権利(以下「消費者の権利」という。)を保障されなければならない。

一)消費生活において、提供される商品又はサービスによって、生命、健康及び財産を侵されない権利
二)消費生活において、商品又はサービスを適切に選択し、これを適正に使用又は利用するために、適正な表示を求める権利
三)安定した消費生活を営むために必要な情報を、適切かつ迅速に、平易な形で提供を受ける権利
四)適正かつ公正な取引環境を確保するために、商品又はサービスについ不当な勧誘を受けない権利、及び、不当な取引条件を強制されない権利並びに、 不適正な取引行為を行わせない権利
五)消費生活において、事業者から被った不当な被害から、適切かつ迅速に救済される権利
六)自立した消費生活を営むために必要な消費者教育を受ける権利
七)障がい等の存在によって、消費生活において特別な不利益を被らないように、消費者契約に関して、必要かつ適切な福祉的支援を受ける権利
八)消費生活に関する県の施策(以下、「消費者政策」という)に対して意見を反映させる権利
九)消費者団体を組織し、団体として行動する権利

(2)前条の権利を実現するために必要な措置については、この条例等において具体的に定めるものとする。
 

現行3条について

県の基本的責務については、前述のような観点から、以下のように規定すべきと考える。

  1. 県は、経済社会の変化に即応した消費者政策の策定及び実施を通じて、前条に掲げた消費者の権利の実現に努めるとともに、県民の消費生活の安定と向上を図らなければならない。ここに消費者政策とは、広く県民のくらしの安全と安心を保障するために、環境や福祉等の問題を視野に入れた総合的かつ多面的なものとする。
  2. 県は、消費者政策の策定及び実施にあたって、できる限り県民の参画と協力を求めるよう努めるとともに、県民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
  3. 県は、消費者政策の策定及び実施にあたって、県内の市町村と緊密な連携を行い、相互に協力 しなければならない。また、市町村による消費者政策の実施に対して必要な支援を行うよう努めなければならない。
  4. 県は、消費者政策の策定及び実施にあたって、県内の消費者団体と連携及び協力を行うとともに、これら団体の活動に必要な支援を行うよう努めなければならない。
  5. 県は、県民が消費者の権利を確立し、消費生活の安定と向上を図るため自主的に推進する調査、研究、啓発、教育、学習、並びに、紛争処理援助動等について必要な支援及び協力を行うように努めなければならない。
  6. 県は、消費者政策の策定及び実施にあたって、温暖化防止等の地球環境の保全に配慮しなければならない。

 

現行4条について

市町村の責務に関しては、被害の広域化による統一的解決の必要性も考え、以下のような規定にすべきと考える。

  1. 市町村は、その地域の社会的、経済的状況に応じて、消費生活の安定と向上を図る消費者政策を策定及び実施し、消費者の権利の実現に努めなければならない。
  2. 市町村は、消費者政策の策定及び実施にあたって、できる限り住民の参画と協力を求めめるとともに、その意見を反映させるよう努めなければならない。
  3. 市町村は、消費者政策の策定及び実施にあたって、県及び県内の他の市町村等と緊密な連携を行い、相互に協力するよう努めなければならない。
  4. また、県による消費者政策の実施に対して協力するよう努めなければならない。
  5. 市町村は、消費者政策の策定及び実施にあたって、温暖化防止等の地球環境の保全に配慮しなければならない。

 

現行5条について

事業者の責務に関しては、情報等の格差の拡大や消費者被害の増加等の社会的事実が存在することから、以下の内容を含む規定にすべきと考える。

  • 事業者は、事業活動を行うにあたり消費者の権利を尊重し、法令を遵守し県が行う施策に協力しなければならない。
  • 商品・役務の供給を行うにあたり自主的に危害の防止、適正な表示、適正な取引方法の実施に努めなければならない。
  • 消費者からの苦情に適切かつ速やかに対処しなければならない。
  • 個人情報の管理に努めなければならない。
  • 事業者自身が遵守すべき事項の自主行動基準を策定するよう努めなければならない。

 

事業者団体の責務に関する規定の新設

改正法では「事業者団体の責務」に関する規定が創設されたが、本条例でも、前述のような社会的事実や、事業者団体の社会的使命を考慮し、以下の内容を含む規定にすべきである。

  • 構成する事業者に必要な情報を提供し事業者の事業を支援し、消費者の権利を尊重した事業活動を促進するよう努めなければならない。
  • 消費者との間に生じた紛争の解決するために必要な体制を整備し、解決のために支援・協力をしなければならない。
  • 事業者自身が遵守すべき事項の自主行動基準を策定するよう努めなければならない。

 

現行6条について

現行規定にもある「消費者の役割」に関する規定は、あくまでも消費者が保護されるべき主体であるうえ、事業者と対等な意味での「自立」は極めて困難であることをふまえ、以下の内容を含む規定にすべきである。

  • 消費者は、自ら進んで消費生活に関する必要な知識を修得し、主体的・合理的に行動することにより、消費者の権利の確立に努め、安全にかつ安心して消費生活を営む事ができる社会の実現に積極的な役割を果たすように努める。
  • 県が行う施策に対し意見の表明・提言に努める。

 

消費者団体の役割に関する規定の新設

「消費者団体の役割」については、改正法でも創設されたが、情報・交渉能力の格差拡大や消費者被害の増加等の社会的事実を踏まえ、以下の内容を含む規定とすべきである。

  • 消費者団体は自主的な組織活動を通じて消費者の権利を実現するため情報提供、消費者教育、啓発活動を行う。
  • 消費者被害救済の支援に努める。
  • 県の行う施策に対して意見を述べる。

 

県への申出に関する規定の新設

前述のとおり、消費者が安全かつ安定した消費生活を送ることは、消費者の基本的な権利と位置づけることができ、それを確保することが県の最も基本的な責務といえる。
したがって、現に違法行為を行う事業者があり、それによって消費者の権利が侵害され、あるいは侵害されるおそれがある場合には、消費者が県に対して、必要な措置を講じるように求める手続を明記すべきである。
そして、その規定には、県がとった、もしくはとらなかった措置の結果等について、申出を行った消費者に対して報告すべき義務があることを明記すべきである(仙台市条例7条参照)。
 

定義規定の新設

前述のとおり、定義規定については、目的規定とは別にすべきと考えるが、その定義規定の内容については、以下のようなものとすべきと考える(福岡市条例案等参照)。

  • 消費者 商品サービスを使用、利用して生活する者
  • 事業者 消費生活の用に供する商品、サービスの製造・供給に関して、商業工業、サービス業その他の事業を行う者
  • 商品 消費者が消費生活を営む上で使用する物 
  • サービス 消費者が消費生活を営む上で使用、利用するもので、商品以外のもの

 

二、現行第7条ないし第14条及び第17条(商品等の安全の確保)の改正について

1.改正の方向性

商品・サービス(以下「商品等」と言う)の安全の確保に関する規定は、現行の規定の中核をなしている。
商品そのものに関する苦情よりも取引方法に関する苦情が現在は目立ってきているが、商品等の安全の確保は消費生活の安全・向上の大前提であり、これに関する規定は現在においても重要である。
もっとも、商品等の規格に関しては、製造物責任法の制定以降、事業者団体は、全国的に商品等の規格についての基準を定めることが多くなり、表示についてもJAS法、食品衛生法等の規制に服するほか、自主基準である「公正競争規約」を策定し公正取引委員会の認定を受ける等、自主的な活動をしている。
そのため、県が独自に規制する必要性は薄らいでいるかのようにも思えるが、製造物責任法もその対象が狭い等の問題があり、特に農産物などについては同法が適用されないことから、こうした部分については県独自に基準設定などを行う余地があろう。
また、「表示」については、それを信頼する消費者が、商品等の情報について適切に判断し、自由に選択できるようにするため、事業者又は事業者団体が適切な表示を行うように求めることは本条例において必要かつ可能であり、それに対する違反の有無も比較的容易に判断できる。
したがって、今回の改正にあたっては、これらの制度をより実効的な制度とするにはどうすれば良いかという点を中心に検討すべきである。

 

2.改正にあたっての指針

まず、規定の中には商品等の「規格」と「表示」を峻別していないものがあるが、法律による規制等でも「規格」と「表示」は分けるのが一般的であり、本条例もその観点での改正は必要であろう。
特に、製造物の設計上又は製造過程における欠陥(危険性)等について、一自治体での判断は困難を伴うと思われ、前述のとおり「表示」の適正化をとおした規制が、本条例においては実質的な意味を持つ。
しかも、表示については、本条例制定後に様々な 法改正(立法)がなされているので(食品衛生法・JAS法(品質表示基準)・薬事法・景表法・健康増進法等順次改正されたり、新しく制定されている)、それらの法の趣旨を踏まえた改正が行われるべきである。
また、商品等の安全の確保に関する規定の中核的地位を占める現行11条では、事業者の基本的かつ重要な義務であるにもかかわらず、その違反が「立入調査」や「公表」の対象となっておらず、事業者に対して「努力義務」となっているというのは極めて問題であり、この点についての改正は必須である。
さらに、各規定間の関係も分かりやすくするために、総則的な規定を設けるとともに、体系的に整理すべきである。
 

総則的規定の新設

商品等の安全の確保に関する現行規定は、事業者の抽象的義務(7条)、調査(8条)、指定(9条) 、緊急措置(10条)、適正化(11条)、基準(12条以下)などとなっているが、各規定間の関係等がわかりにくいので、これを明確にする意味も含め、以下のような総則的規定を新設すべきと考える。

  1. 県は、消費者の消費生活の安全を確保するため、事業者の供給する商品等によって、消費者の生命・身体・財産に損害を及ぼすおそれがあると認める場合には、本章の規定に従い、商品等に対する調査をしたうえで、「危害商品等」としての指定をすることができ、その「危害商品等」については、事業者に対して供給の中止、回収等の措置を取るべきことを勧告できるうえ、その勧告に事業者が従わない場合には、その事業者や危害商品等に関する情報を消費者に情報提供することができる。
  2. 県は、消費者の消費生活の安定・向上を図るため、商品等の規格・表示に関して本条例で規制する他、本章の規定に従い、商品等の規格・表示等に関する基準を設定して、事業者及び事業者団体にその遵守を求めることができる。

 

現行7条について

現行7条は「危害商品の供給の禁止」に関する一般的・抽象的な規定であるが、消費者にしてみれば、「危害を及ぼす、あるいはそのおそれのある商品等の提供をされないこと」自体が重要なのであり、その点を端的に示すべきである。
したがって、「その欠陥のため又はその安全性を確保するための必要な措置がとられていないため」などという文言は削除すべきである(石川県消費生活懇話会提言参照)。
 

現行8条について

「安全性を欠く商品であること」等の立証責任が行政にあるとすれば、正直に説明をした業者が処分を受け、説明を拒んだり虚偽の説明をした業者が処分を免れるという不当な結果が生じることが容易に予想される。
したがって、事業者に対して、商品の安全性等の説明を求めたにもかかわらず、説明をしなかったり虚偽の説明をした場合には、他の法令等にもあるとおり、「安全性を欠く商品である」との「推定」ないし「みなし」規定をいれるべきである。
 

現行9条について

危害商品の指定等に関する規定であり、この規定自体は有用と思われるが、前述のとおり、「規格」と「表示」に分けて分かりやすくし、実際に措置を行おうとする場合の判断基準として明確にすべきである。
また、1項において「法令に基づく措置がとられる場合」を除外しているが、その法令と別の目的で指定等を行う必要性がある場合や、法令の規制内容が地域の実情に合わない場合も考えられるので、このような除外が適当であるのかも検討すべきである。
 

現行10条について

本条についても、前条と同様、「規格」と「表示」の問題を分ける必要があり、「法令に基づく措置がとられる場合」の除外が必要かについても検討すべきである。
また、本条が予定する緊急性のある場合において、「特に必要があるとき」という限定が必要なのかは疑問であり、単に「必要があるとき」という程度で十分ではないかと思われる。
さらに、消費者の重大な財産権侵害のおそれがある場合にも、本条に基づく情報提供が必要な場合もありうると思われるので、本条の適用要件として「消費者の財産侵害のおそれ」も加えるべきである。
なお、本条の「消費者への周知」が、現行35条 の「公表」と異なる制度であることを明確にするとともに、「周知」というあいまいな表現を「情報提供」などに改正することも検討すべきである。
 

現行11条について

本条は、商品等の安全の確保に関する規定の中核であり、前述のとおり、「規格」と「表示」を峻別して分かりやすくすべきである。
しかも、努力義務にとどまっていることも前述のとおりであり、この点も改正して、後述の「立入調査」「公表」等の対象とすべきである。
なお、1号は抽象的な努力義務を定めているが、「柱書き」に入れることを検討するとともに、具体的な規定の内容としては「消費生活の合理化」ではなく「消費生活の安全」等とすべきである。
また、2号以下の各規定についても、より実効的なものとするため、規定の仕方をより具体的にするなど検討すべきである。
特に、現行の2号等については、現行規定の内容に加え、「商品等の内容」、「保証期間、内容」等も 条例で表示義務を認め、本条例に基づいて制定される規則等では、さらに、「自動販売機等で供給する場合の内容、及び取引条件、連絡に必要な事項」、「再使用、再利用が可能な商品について、その方法、期間」、「特別な注意を必要とする商品について、その廃棄の方法」、「使用、利用方法によっては生命、身体、財産に危害等が発生するおそれがある商品、サービスについて、危害等の具体的内容、及び発生を回 避するための使用」等を規定すべきである(福岡市条 例案参照)。
 

現行13条について

県の基準設定等に関する規定であるが、その前 段階として、「県が事業者又は事業者団体に自主基 準を設定するように求める」という手続を新設することも 検討すべきである(もちろん、その手続を新設したからと いって、その手続をふまなければ県が基準を設定でき ないとするべきものではない)。

また、消費者自身が消費者行政に積極的に参画することの重要性から、消費者が基準の制定を求める手続の整備も検討すべきである(具体的には、「その請求について消費生活審議会等で審議する」など)。
さらに、この規定の対象となる「基準」の範囲であるが、事業者自身のコンプライアンス(法令遵守)が現在重要視されていることからすれば、単に「規格」「表示」に関してだけでなく、「欠陥」「クレーム」などの「公表基準」など、広く事業者のコンプライアンス全体に関 するものとすべきである。
なお、「取引方法の適正化」に関するものも、この「基準」の対象とすべきであることは後述のとおりである。
したがって、現行12条ないし14条については、商品の安全等に限った話ではなく、事業者のコンプライアンス全般の問題として、別の章として独立させるということも考えられる。
 

現行14条について

県が設定した基準に対する違反の有無について、県が調査できるのか条文上明確でないので、これを明確化すべきである。
 

現行17条について

商品のハイテク化等に伴い、都道府県における検査能力の限界という問題も予想されるため、試験・検査については、外部機関への委託ができることを明文化しておくべきではないかと思われる。
 

三、現行第15条(取引方法の適正化)の改正について

現行の15条では、不当な取引方法の禁止について定めている。
現在の消費者被害の多くが、商品自体からの危害ではなく、取引方法の不当性によるものであること からすれば、これに関する規定は極めて重要である。
ところが、現行規定はわずか1か条にとどまり、しかもその規定自体、極めて抽象的である。
現在の悪質業者による巧妙化する手口への規制条項としてはあまりに不十分であるし、あまりに抽象的すぎて、相談現場でのあっせん業務等では活用しづらい。
したがって、不当な取引方法に関する規定については、東京都条例等を参考に、その重要性から独立の章として格上げするとともに、不当な取引方法を具体的に列挙し、さらには、関連規定の整備もすべきである。
そして、その規定の整備にあたっては、商品等の規格・表示の適正化に関する規定と同様、総則的な規定を置くことを考えるべきである。
なお、不当な取引方法の例示について、その詳細に関しては規則等に委ねざるを得ないと思われるが、条例自体に多くの行為類型を明示することは、相談現場で活用できるだけでなく、それを広報することにより、一般県民に啓発され、被害の予防にもつながるので重要である。
具体的な改正にあたっては、以上のような視点を重視しなければならない。
なお、現行12条ないし14条の「基準」に関する規定は、取引方法の適正化に関しても導入可能な制度である。
消費者の被害防止の施策としては、事業者自らのコンプライアンスによることが最も望ましいことからすれば、ここにおいても「基準」の制度を適用すべきと考える。
 

総則的規定の新設

取引方法の適正化に関しても、後述のとおり、県の調査や消費者への情報提供を規定すべきであるので、制度の全体像を分かりやすくするために、商品等の規格・表示に関する規定と同様の総則的規定を設けるべきと考える。
 

現行15条について

現行15条1項の規定は、基本的に維持すべきであるが、「消費者の知識、能力又は経験不足」に加え、消費者契約法の趣旨を反映させるため、「畏怖、困惑させ」等も追加すべきである。
そして、現行15条1項の具体化として規定する禁止すべき不当な取引方法は、以下のような内容を具体的に列挙すべきである(東京都条例25条参照)。

1.不当勧誘行為-情報提供義務違反・不実告知・故意の事実不告知(消費者契約法3条、4条 、改正特定商取引法3条、6条、7条(2004年11月施行)等参照)

 

2.不当勧誘行為-畏怖・困惑等

  • 威迫・困惑等により消費者を不安にさせて、契約の意思がないのに契約させること(規則等においては、迷惑メール・FAXの規制も必要になると思われる)。
  • 若年・高齢・障がい等、消費者の取引に関する知識・判断力不足に乗じ、不当な契約を締結させること。

 

3.不当な取引内容

  • 取引における信義誠実の原則に反し、消費者に不当に不利益をもたらす内容の契約を締結させること(消費者契約法8条~10条参照)。
  • 対価的均衡を著しく欠く契約を締結させること。

 

4.不当な履行強制行為

不当な手段を用いて、契約(契約の成立・内容について当事者間に争いのあるものを含む)の履行を迫り、当該債務の履行をさせること。
不当な履行延引行為
契約や法律の規定に基づく債務の履行がない旨の消費者苦情に対し、適切な処理をせず、履行を拒否し、またはいたずらに遅延させ、又は継続的取引において、正当な理由なく取引条件を一方的に変更し、または消費者への事前通知なく履行を中止すること。

 

5.不当な終了拒否行為

消費者の正当な根拠に基づく、契約の解除・取消し・若しくは無効の主張の申出を妨げ、契約の成立・存続を強要し、又は契約の解除・取消し・無効の主張が有効にもかかわらず、これらによって生じた債務の履行を不当に拒否しまたは遅延させること。

 

6.不当与信行為

販売業者等からの商品又はサービスの購入についての与信契約等について消費者の利益を不当に害することが明白であるにも関わらず、契約を勧誘し、締結させて、与信契約に基づく契約の履行を迫り、若しくは債務の履行をさせること。

 

不当な取引方法に関する調査についての規定の新設

単に、禁止される取引方法を具体化するだけではなく、その規制の重要性から、取引方法に不当性の疑いが認められる場合には、県に調査義務を認めるべきである(東京都条例26条参照)。
 

不当な取引方法に関する情報提供についての規定の新設

前記の調査によって、消費者に重大な被害が 発生し、あるいは被害が拡大する恐れがあると認めら れた場合には、調査結果等を消費者に情報提供すべ きである(東京都条例27条参照)。
 

四、現行第16条(自動販売機の設置)の改正について

現行16条は自動販売機の設置に関する規定であるが、商品提供に関する責任者の明示に関しては「表示」に関する規制で足り、美観や青少年育成上の問題に関しては別条例で対応すべきであり、本条例とは整合しない規定となっているので、本条例からは削除するべきと思われる。
 

五、現行第4章の改正について

生活に密着した、または欠かすことのできない生活関連物資の供給および価格の安定の確保は、県民の消費生活の安定・維持・向上のための前提条件である。
天候不順、風水害等による作物への影響、戦争、外患等による原油をはじめとする天然素材の高騰、動植物への疫病被害を契機として、事業者による関連製品の売り惜しみ、買占め、便乗値上げが行われ、かかる人為的な品薄状況の創出、消費者の危機感を奇貨として、市場における関連製品・サービスの価格の高騰がもたらされることは少なくない。
こうした事態が発生すると、消費者に冷静な消費行動を期待することは容易ではなく、県民の消費生活は不安定な要素にさらされることになる。
したがって、かかる事態の発生のさなかにあって、生活関連物資の流通の円滑化、価格の安定化を図ることを目的として、自治体が必要な諸策を講じることは、当然に求められることであり、現行条例が、関係規定を定めていることからも、その必要性は既に明らかにされているところである。
条例の見直し・改正に際しては、かかる必要性をあらためて確認するとともに、これまでの条例の関係規定の運用状況等を踏まえて、規定および手続の拡充が図られることが望まれる。
ただし、他の章との比較で、やや条文数が多い感があるので、条文の統廃合も検討すべきと思われる。
 

六、現行第5章の改正について

環境への配慮の重要性は、市民生活においても高まっているが、それに関する規制を全て本条例に取り込むことは困難であるうえ、それを行うと本条例の本質が不明確となりかねない。
したがって、本条例においては、環境への配慮の重要性を総則規定で抽象的に規定するに止め、具体的な内容については、別条例での規定に委ねるべきと考えられる。
よって、現行第5章は削除するのが相当であると思われる。
 

七、現行第18条(啓発等)の改正について

本条例は、現行規定においても消費者の権利擁護が目的とされているが、消費者に対する自立の支援を基本理念として掲げておらず、啓発や消費者教育(以下「啓発等」という。)についても、18条で抽象的に規定するのみであった。
したがって、消費者は保護される者ではあったが、自立した消費者になれるように支援する啓発等が重要視されていなかった。
そのため、学校教育の場でも消費者教育を扱うべき家庭科や公民の時間が減らされてきている。
また、家計の管理や将来の生活設計も消費生活においては重要であるが、それらを教育する場は極めて少ない。
しかし、今回の法改正で「保護」だけでなく「自立の支援」も基本理念に位置づけられた。
そして、改正法では、この「基本理念」に則った政策を推進する責務を県に課している。
したがって、自立の支援に必要な啓発等に対し、県を初めとした行政は積極的に取り組まなければならない。
また、自立の支援を行うにあたっては、法が「消費者の年齢その他の特性に配慮」するように求めており、県を初めとした行政には、きめ細かな支援活動が求められている。
このような啓発等の重要性が高まったことを明確化するためにも、この点に関する規定を独立の章にすることも検討するとともに、啓発等の具体的な中身も明確にし、今後の県の自立支援策が明確となるように改正すべきである。
また、啓発等は、単に行政に任せればいいという問題でもない。
法によって社会的存在として認知された「消費者団体」も、積極的に関与していく責務があると思われるので、啓発等の主体として「消費者団体」も掲げるべきである。
 

現行18条について

現行規定では、県が啓発等を行う目的を記載しているが、法が「自立の支援」を基本理念として明示しているので、その点にも言及すべきである。
また、自立支援策の重要性の高まりを規定の体裁自体からも分かるように、「啓発」と「消費者教育」とは別条文にし、それぞれ県が行うべき施策の具体例を明示するべきである。
もちろん、「啓発」と「消費者教育」とを完全に峻別することは困難な部分もあり、それぞれの概念を的確に定義することは容易ではないが、いずれについても具体的内容を例示的に掲げることは、極めて意義深いと考える。
また、法改正によって、前述のとおり、「消費者の特性に配慮した」自立支援策が求められることとなったのであり、「啓発」等を行うに際しても、その点の配慮を明示する必要がある。
したがって、本条においては、以下の内容が明確に盛り込まれるべきである。

  • 「啓発」の内容に「法律上の権利、被害救済手続、トラブル対処マニュアル等についての広報」、「消費者トラブル・被害情報の広報」などが含まれること。
  • 県の責務として、「法律上の権利、被害救済手続の等の広報」、「トラブル対処マニュアル等の作成と周知徹底」、「消費者トラブル・被害情報についての迅速な広報」などを掲げること。
  • 情報の迅速な伝達により、行政と消費者との情報の共有化を目指すこと。
  • 以上の施策を行うにあたっては、消費者の年齢、障がいの有無軽重等に配慮すること。

 

消費者教育に関する規定の新設

前述のとおり、「啓発」と別に、新たに「消費者教育」に関する規定を独立して設けるべきである。
また、弱者への配慮が必要であることも「啓発」と同様である。
そして、「消費者教育」についても、その具体的内容をある程度列挙するべきと考える。
よって、ここでの規定は以下の内容を含んだものとすべきである。

  • 「消費者教育」の内容として「学校教育における消費者教育」、「企業の社員研修のプログラムにおける消費者教育」、「地域等における消費者問題に関する学習会」などが含まれること。
  • 県の責務として「学校教育における消費者教育の充実」、「企業の社員研修のプログラムにおける消費者教育の指導」、「各種学習会への専門講師のあっせん、紹介」、「消費者教育を行う指導者の育成」、「消費者教育の場への県の施設の提供」などを掲げること。
  • 県が消費者教育の施策を行う際は、マスメディアを積極的に利用することにより、年齢、障がいの有無軽重を問わず、多くの消費者に消費者教育が行き届くよう配慮しなければならないこと。

 

消費者団体への支援等に関する規定の新設

前述のとおり、啓発等の担い手として消費者団体に対する期待は大きい。
したがって、県は、消費者団体が行う消費者教育等に支援等を行うことを明記しておく必要がある。
また、啓発等を行う際には、県が市町村、事業者、事業者団体、教育機関等との連携も重要であるのでその点も明記すべきであり、さらには、市町村の責務として「市町村の施設を消費者教育の場として提供すること」の明示も検討すべきである。
 

八、現行第3章の改正について

商品がハイテク化して消費者と事業者の情報格差が拡大し、各地の消費者相談窓口での相談件数が増加している現状からすれば、専門的知見に基づく適切かつ迅速な苦情解決、紛争処理が強く求められる。
その意味で、この章は極めて重要な意味を持つ。
本章に関する現状での問題点としては、

  1. 相談員の人材確保や資質の向上に関する規定が存在しない。
  2. 広域的に発生している被害を統一的に解決する仕組みがない。
  3. 苦情処理委員会が事実上機能していない。

などを指摘することができるので、今回の改正にあたっては、このような問題点を改善する内容とすべきである。
特に「苦情処理委員会」については、現状における問題が深刻である。
苦情処理委員会によるあっせん・調停については付託がなく、処理案件が毎年皆無なのが現状であるが、その要因として、

  • 消費生活センター等で一定程度の解決がなされている。
  • 弁護士会への依頼等、司法的解決がなされているものもある。
  • 過去に案件がなく、どのような事件をあげることができるのか分からないうえ、手続も煩雑であり、苦情処理委員会の利用を躊躇するケースがあった可能性もある。

が挙げられる。
しかし、苦情処理委員会には、消費生活センターや市町村では困難な役割として、

  • 紛争自体の公表(苦情処理委員会にかかったことの公表)による、新規被害の抑制
  • あっせん案公表による、事実上の啓発効果
  • 多数被害の統一的解決

等が認められ、裁判所等の司法機関と異なる役割として、

  • 全体的、一体的解決
  • 迅速な処理、早期の救済(詳細な事実認定を必ずしも前提とせずにあっせん案を提示すること)

もあると考えられる。
したがって、その存在意義は大きいのであり、「対象事件の明確化」と「付託手続の簡略化」等によって、実効的な制度が構築されるべきである。
 

現行19条について

法改正によって「事業者団体」の責務が新たに導入されたことを受け、ここでも「事業者」のみならず「事業者団体」をその主体とすべきである。
また、事業者及び事業者団体が苦情処理・紛争解決に消極的な姿勢に終始する可能性も考え、県がこれらに対して苦情の処理・紛争の解決に必要な施策を講じるように指導する責務を明示すべきである。
 

現行20条について

苦情の処理等に関しては、改正法が明確に「都道府県」の責務としていることから、本条における主体も「県」とすべきである。
また、1項については、「申出などにより」とし、「近親者からの情報提供」など厳密な意味での「申出」がなくても事業者に対して改善を求めるなどできるようにすべきである。
さらに、適切なあっせん等を行うためには外部の専門機関の意見を参考にする必要がある場合もあるので、2項には「専門機関への意見の照会」なども挿入すべきである。
県消費生活センターの役割に関する規定の新設
現在、佐賀県では、組織上「県消費生活センター」は存在しないとのことであり、その名称はあくまでも「通称」の扱いである。
しかし、県消費生活センターは、我が国の地方自治体における消費者苦情処理において、欠かすことのできない存在であり、これまで事業者とのあっせんにおいても、その名称自体が絶大なる影響力を有してきた。
したがって、その存在は条文上に明記し、その役割も県内外に明確にすべきである。
そして、本センターの具体的な役割が、苦情処理のあっせん、情報収集と提供、消費者への啓発及び教育、その他消費者政策推進の中核であることを条例で明記すべきである。
 

人材の確保等に関する規定の新設

前述のとおり、専門的知見に基づく適切かつ迅速な解決は極めて重要であるが、そのためには、相談員等の人材確保とその資質向上が不可欠である。
改正法も「商品及び役務に関して事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、人材の確保及び資質の向上その他必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」との規定を新設しており、これに合わせて条例にも同内容の規定を新設すべきである。
 

市町村との連携に関する規定の新設

インターネットの普及などにより、事業者の活動範囲の拡大し、同種被害の発生が広域化する傾向にあるため、苦情処理・紛争解決もそれに対応できるものとする必要がある。
特に同種紛争の迅速かつ統一的解決は重要であり、総則規定に加え、

  • 市町村の苦情処理に対して、情報提供やあっせんの助言等の支援を行うこと。
  • 市町村において処理が困難、あるいは複数の市町村にまたがって発生しているもの等については、県は統一的なあっせん処理に努めるものとすること。
  • 要請があれば、県で受けた苦情を既に解決事例のある地元市町村に移送したり、市町村で受けた苦情を統一的解決のため県に移送することが比較的容易にできるようにすること。

などの改善をすべきである。
 

現行21条について

前述のとおり、苦情処理委員会のあっせん・調停については、対象事件を明確化し、付託手続等を簡略化する必要がある。

 

1.付託すべき事件

具体的に、まず、苦情処理委員会のあっせん等に適する事件としては、前述の役割からすれば、

  • 現に同種被害が多発し、あるいは多発するおそれがある場合
  • 被害が重大で、同種被害が今後も発生する可能性がある場合
  • その他、苦情処理委員会でのあっせんを図ることが適当と認められる場合

などとすべきである。

 

2.付託権者

付託等については、迅速かつ統一的な解決の要請から、市町村からの付託も直接可能とすべきである。
また、県が受けた苦情については、これまでと同様、1次的には県消費生活センターの判断で付託すべきかどうか判断すべきであるが、現状における付託に関する消極姿勢を考慮すれば、消費者が苦情処理委員会でのあっせん等を希望したにもかかわらず付託されな かった場合には、その消費者自身が自ら苦情処理委員会にあっせん等を申し出る途を確保することも可能とすべきである。

 

3.付託システムの簡略化

付託までの複雑かつ多大な手続が、事実上の抑止効果をもたらしているとも思われるので、前述のとおり、この点の改善は極めて重要である。

 

4.あっせん作業

(1)部会制の導入の検討
案件の増加がありうることを考え、3名程度の委員で構成する部会を複数作れるようにすることなどを検討すべきである。
(2)特別委員制度の導入の検討
案件が高度に専門的である場合には、その専門知識を有する者を、その案件のあっせん等においてだけ「委員」として参加できるようにすることなどを検討すべきである。
(3)外部の専門機関への調査、意見照会
同様に、案件が専門的である場合には、適切かつ迅速なあっせん等ができるよう、外部の専門機関等への調査依頼、意見照会ができるような体制を整備すべきである。

 

5.費用

適切なあっせん等を行うためには、検査・調査が必要な場合もあるが、消費者からの苦情申出にかかる事案は、そもそも被害が少額なものなど、検査・調査に関する費用を本人負担にすると「割りに合わない」場合が当然予想される。
したがって、

  • 単に当該当事者のためだけではなく、全県民にとっても有益な検査・調査に関する費用については、当事者に負担させない。
  • 事業者の加害行為が極めて悪質な場合には、あっせんに必要となった検査・調査に要した費用を事業者に負担させることもできる。

などとすべきである。

 

6.公表

苦情処理委員会に係属したこと、及びあっせん案の内容・結果等については、公表すべきである。

 

現行22条について

訴訟費用の貸付制度自体については、

  • 苦情処理委員会のあっせん等が不調に終わった場合の消費者に対する援助の必要性
  • 司法において、苦情処理委員会のあっせん案が実現することにより、その権威維持

等の理由から存続させる必要はある。
そして、その必要性との関係からすれば、現行規定の要件は狭すぎるので、

  • 苦情処理委員会のあっせん及び調停が不調に終わったもの
  • 消費生活センター、各市町村でのあっせんが不調に終わったもので、同種業者による同種被害が今後も継続して発生する恐れがあるもの

という程度の要件にすべきである。
 

現行23条について

貸し付けた費用の償還については、運用の問題として、個別訴訟への援助ではあるが、それが全県民の利益にもなるような場合には、償還の免除を広く認めるべきと考える。
 

九、現行第6章の改正について

本章は、消費生活審議会と消費者苦情処理委員会の組織に関するものである。
苦情処理委員会については、前述のとおり、あっせん・調停という役割に加え、後述の「公表」でも重要な役割が認められるので、その役割に適した組織となるように改善していく必要がある
他方、消費生活審議会(以下「審議会」という。)は、現在、消費生活関連問題に関する知事の諮問機関として、条例上は重要な位置づけを与えられている。
条例上、審議会は、知事の諮問に応じ、消費生活の安定及び向上に関する重要な事項を調査審議することを目的として、設置されるものであるが、これまで具体的な施策について、諮問がなされたことはほとんどなく、年1回形式的に開催され、消費生活センターの苦情受付実績等について報告を受ける程度にとどまっている。
実態として、審議会が全く機能していないこともあって、その委員の多くは、各種団体の一定の役職・地位にある者が選任され、全ての委員に消費者問題についての知識・経験・意欲が必ずしもあるとは言えず、また、審議会で実質的な討議が行われることも少ない。
このような現状では、その存在意義が乏しいと言わざるを得ず、結局、審議会を実のあるものにするためには、具体的施策について積極的に諮問を行うようにするなど、運用を大幅に改善する必要がある。
このような審議会を実のあるものに変えるためには、

  • 具体的な審議事項を与え、一定期限以内に具体的な回答を義務づける。
  • 具体的討議を行う会合を頻繁に開催する必要性を明確にする。
  • それに伴い、委員の意識や委員の選出方法を変えていく。

ことなどが必要と思われる。
このように、審議会を実質的に機能させるには、知事の諮問に対し調査・検討のうえ答申をなし、それを行うに十分な知識・経験・能力を有する者を選任すべきであり、さらには、審議会自らが政策提言などを行う権限も認めるべきと考える。
本章の改正にあたっては、以上のような視点が 重要である。
 

現行32条について

1.機能、権限

前述のとおり、審議会を実質化するには、諮問への答申のみならず、具体的な消費者政策について知事に対し提言を行うことも、その機能として考えてよい(東京都消費生活条例45条3項参照)。

 

2.構成

今後の改正・改善により、審議会が実質化し、具体的な審議等を行う会合を頻繁に行うこととなれば、それにふさわしい消費生活問題に関する専門家で委員を構成する必要があるが、そうなれば、現在の「22人以下」という数も必要なのか疑問もあり、「15名以下」程度でもいいのではと思われる。

 

3.運営

具体的問題点に関しての答申であれば、実質的に審議する期間を確保する必要があるので、知事が諮問する際には、答申の期限を半年以上後にするなど、審議会の審議の期間を確保させる必要がある。

 

4.部会制度

審議会に、諮問機関・政策提言機関として実質的な活動を期待するのであれば、継続的な調査・研究を行うための部会制度を採用することも検討すべきである(東京都消費生活条例45条9項参照)。

 

現行33条について

1.目的・名称

消費者トラブルや消費者からの苦情の中には、必ずしも「被害」とは言い切れないものもあると思われるが、少なくとも、苦情処理委員会であっせん・調停を試みるものや「公表」等のために苦情処理委員会が関与するのは、県消費生活センター等が「事業者の違反行為」の存在を認識している場合であり、その場合の消費者側の苦情申出は一般的に「消費者側の被害」と位置づけることができる。
そして、苦情処理委員会で行うあっせん・調停も、苦情処理委員会が意見を述べる「公表」も、広く消費者被害の予防・救済を目的としたものである。
したがって、東京都条例等を参考に、この委員会の目的として「被害救済」を掲げ、名称も「目的」と整合する形で「消費者被害救済委員会」とすべきである。

 

2.構成

苦情処理委員会の機能としては、(1)あっせん及び調停、(2)業者名公表への意見等がある。
そして、(1)については、法的判断が必要であるが、他方で前述のとおり政策的判断も要請される。
また、(2)については、法律的判断が要請される一方、判断の迅速性も要請される。
さらに、訴訟費用の貸付についての審査権限も与えられるとするならば、それは「法律扶助協会」の審査委員に類似した役割も求められることとなる。
以上のような役割からすれば、まず、委員会は多数決を採用する「合議制」を基本とすることから、委員の人数は奇数にする必要があるが、迅速性の観点からはあまり大人数にすべきではない。
ただし、社会的な関心を集める事件のあっせん等や、重大な効果を生じる業者名公表の判断をすることとなるので、結局、5~7人程度が適正かと思われる。
また、構成員としては、法律的判断に加え政策的判断も要請されるので、消費者問題に精通している学識経験者(大学教員等)、法律実務家(弁護士等)、消費生活相談員経験者等で構成すべきである。
消費者側を代表する者と事業者側を代表する者を構成員とする従来からの考え方もあるが、審議会と異なって少人数で構成せざるを得ないことから、中立的な専門家だけによって公正に運営することを考えるべきである。

 

3.兼任の禁止

審議会との役割、機能の違い(政策的意見か、個別事案についての意見か)から、適任者等も異なると思われるので、兼任はふさわしくないと考える。
 

十、現行第7章の改正について

現行規定では「雑則」と標記されているが、違反業者に対する立入調査や公表等、事業者に本条例を遵守させるうえで、重要な内容を含んでいる。
特に「公表」については、特定事業者の違反行為を広く一般に広報することとなり、その事業者に対する重大な制裁としての機能を有している。
本章の内容の重要性からすれば、「雑則」というのはふさわしくなく、本章の内容からすれば、東京都条例等にもあるとおり、表題は「調査、勧告、公表等」とすべきである。
ところが、この「公表」については、これまで発動されたという情報はなく、必ずしも実効的な制度となっていないなど、改善の必要性がある。
本章に関する問題点を整理してみると、

  • 調査に関しては、その対象が条例違反全般とはなっておらず、条例違反ではあっても「調査」の対象にすらなっていないものがある。
  • 「公表」の前に事実上行われている「勧告(排除命令)」については規定すらない。
  • 「公表」は事実上「新たな被害を予防」が目的であるが、様々な手続が規則で定められており、迅速な対応が困難で実効性に欠ける。

などをあげることができる。
特に②の関係で、調査から公表等に至る経過が不明確となっているので、手続全体の構造としては「調査-勧告-公表」という流れになっていることを明示し、それぞれの手続ごとに条文も整理すべきである。
今回の改正にあたっては、これらの問題点を改善する内容とすべきである。
なお、本章の手続の主体についても、現行20条と同様「県」とすべきである。

 

現行34条について

1.対象行為

本条例で違反する行為は、すべて消費者の重大な被害につながる可能性があるものであり、特定の違反行為を調査対象外とする必要はない。
したがって、対象となる行為は、法令違反全般とすべきである。

 

2.みなし規定

調査に対する妨害や虚偽説明をなした事業者については、自己の正当な権利主張を放棄しているのと等しいのであるから、これらの場合には違反事実ありと「みなす」旨の規定を入れるべきである。

 

3.したがって、改正後の規定としては、

  1. 知事による求資料提出、立入調査の実施
  2. 職員による身分証携帯、提示義務
  3. 資料提出の拒絶、虚偽資料の提出、立入調査妨害の場合に「対象行為」が条例に違反するものとみなす

 

4.現3項の規定

というような構造にすべきと考える。

 

勧告に関する規定の新設

前述のとおり、制度全体を明確化するため、「公表」に関する規定の前に、現在も事実上行われている「勧告」に関する規定を新設すべきである。

 

1.公表との手続の関係

「公表」という事実上の制裁を加えるに際しては、その効果の重大性から、前段階で「勧告」の手続を行うのが一般的には穏当であろう。
しかし、被害が深刻でしかもその被害が急速に拡大しているなどの緊急性が認められる場合には、勧告を省略して「公表」を考える必要がある場合も考えられる。
したがって、「公表」をするについては、必ずしも「勧告」を前置する必要はないと考えるべきである。

 

2.弁明の機会

「公表」はもちろん、「勧告」も事業者に対しては事実上の制裁ともいえるので、勧告を行う際にも事業者の弁明の機会を与えるべきである。
しかし、「勧告」前に弁明の機会を与え、さらに「公表」の前に再度弁明の機会を与えるのは迂遠である。
また、事業者としても、緊急性があるなどの特別な場合には、「勧告」を省略していきなり「公表」ということもありうるのであるから、弁明の機会の際に「勧告または公表すべきかどうかを判断するにあたって」と告知すれば、「不意打ち」との反論はあり得ない。
よって、「勧告」の前に弁明の機会が与えられていた事業者については、「勧告」後の「公表」にあたって、必ずしも再度弁明の機会を与える必要はない。
なお、この「弁明の機会」については、「勧告」や「公表」と別の条文にすることも考えられる。

 

3.対象行為

「公表」と異なり、それ程大きな制裁としての機能は認められないと思われるので、対象の行為としては、「調査」と同様「法令違反」全般とすべきである。
ただし、将来行為だけを対象とすると、実効性に欠けると思われるので、「既往行為」も対象とすべきである。
なお、弁明の結果、「不処分」「処分の猶予(事実上の注意だけ)」などがありうることも明記すべきと考える。

 

4.したがって、この点に関する規定としては、

  1. 知事による勧告(条例違反行為の中止、その他違反状態を除去するために必要な措置を講じることを命じる。)
  2. 事業者・事業者団体にする適正手続の保障
  3. 既往行為を対象(過去1年)

のような構造にすべきと考える。

 

現行35条について

1.公表制度の構造

現行の公表制度は、当然に「業者名公表」を予定しているが、立法論としては、まず、業者名以外の商品またはサービスの内容、名称及び種類、取引方法等を公表し、それでも足りないと認められる場合には業者名を公表するという、いわゆる「2段階公表」の考え方がある。
いきなり業者名を公表するには躊躇を感じるが、被害予防の為にはある程度の公表は必要との判断になる場合も予想されるため、佐賀県でも「2段階公表」を積極的に検討すべきと思われる。
ただし、この「2段階公表」の制度を導入したとしても、ただちに事業者名を公表しなければならない緊急性がある場合には、最初から事業者名の公表もできるとすべきである。

 

2.公表の実体的要件

公表は重大なサンクションであるため、基本的には刑法規定に準ずる構成要件の明確性が求められる。
そして、このことから、①重大な法益侵害のある場合、及び、②違法行為の悪質性が高い場合等(つまりは高度の違法性が認められる場合)に限定されることになると思われる。

 

3.したがって、この点に関する規定は、

(1)知事は、本条例の規定に違反する事実が認められ、かつ以下に定める基準の一に該当する場合には、当該事業者または事業者団体による取引方法、当該商品または役務の名称、種類もしくは内容を公表するものとする。

  1. 県民生活に重大または広範な影響もしくは被害を及ぼすおそれがある場合
  2. 再犯の場合

(2)知事は、前項の措置によっては、県民生活に対して及ぶこととなる影響もしくは被害を除去することが困難である場合には、事業者名または事業者団体名を公表するものとする。
という構造とすべきである。

 

弁明の機会に関する規定の新設

前述のとおり、「勧告」および「公表」についての弁明の機会については、独立の条文とすることが考えられる。
また、その条文の中で、「公表」に関する「手続」を整理することも考えられる。

 

1.弁明の機会

特に「公表」についての効果の重大性から、事業者の意見陳述の機会は、最終的に知事が公表すべきかどうかを決定する際に意見を聞く苦情処理委員会において直接行うべきである。
そして、その性質の重大性から、苦情処理委員会は委員の過半数の出席を要件とすべきである。
なお、「勧告」を必ずしも前置しないことは前述のとおりである。
また、事業者に弁明の機会を与えるにあたっては、その対象となっている違反事実や、弁明をしなかった場合の不利益等(公表等される可能性)を告知すべきである。

 

2.「公表」への手続

苦情処理委員会において事業者の意見陳述等がなされた後は、知事は、苦情処理委員会に「公表」の是非についての意見を求める。
苦情処理委員会は、多数決によってその意見を決定する。

 

3.したがって、この点に関する規定は、

  1. 知事は、34条の2の勧告および前条の公表を行う場合には、あらかじめ、措置の対象となる事業者または事業者団体に対し、当該事案について意見を陳述し、証拠を提示する機会を与えなければならない 。
  2. 知事は、前項の手続をとる場合には、消費者被害救済委員会を招集し、過半数の委員の同席を求めなければならない。
  3. 知事は、第1項の手続の終了後、消費者被害救済委員会に当該事案に関する意見を求めるものとする。

という内容とすべきである(苦情処理委員会の名称を「消費者被害救済委員会」に改正すべきことは前述のとおり)。

 

罰則の新設

同種の条例において、罰則が規定されている例は存在しない。
しかし、重大な制裁効果がある業者名公表を回避するために、事業者が悪質な行為に出る可能性もありうる。
その場合、調査に協力した業者は「公表」がなされ、調査を妨害した業者は「公表」をされずに済んだとすると、調査に協力しない者が利するという不合理な結果となる。
したがって、調査への妨害や虚偽の資料提出などの場合を中心に、構成要件の明確化を条件に、罰則を導入すべきである。
もちろん、法人等の処罰は「両罰規定」によることになるが、条例自体で罰則を適用することが困難なものについては、県から積極的に告発することを明記し、違反業者への牽制をすることも考えられる。
罰則についての具体的な規定の仕方としては、
(1)次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

  1. 第34条1項の立入検査を拒み、妨害し若しくは忌避した者
  2. 第34条3項の規定による資料の提出に際して、改竄された資料を提出した者

(2)法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前2項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
などが考えられる。

以上

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